

「Docu Athan」は、ミャンマー人のクリエイター(ジャーナリスト/映像制作者/アーティストなど)を支援するためのオンラインプラットフォームです。アッタンはミャンマー語で(声・意見)などの意味があります。私たち視聴者が「アッタン」を購入することで、クリエイターは新たな作品作りの資金とすることができます。
このプロジェクトは、ミャンマーで拘束された2人の日本人、ジャーナリストの北角裕樹とドキュメンタリー作家の久保田徹の発案から生まれました。2人は自分たちが解放された後も、ミャンマーの友人たちが苦境にあることに対してできることは何かを考えた末に、仲間と共に立ち上げました。
ミャンマーの作品を日本に紹介するとともに、ミャンマーのクリエイターたちの制作を支えることで、多くのクリエイターが集う場としての役割を果たすことも目的のひとつです。活動の場が広がり、日本からの声が伝わることで、新たな制作意欲につなげる狙いもあります。
立ち上げにあたっては、イラストレーターや広報の専門家、キュレーターら多くの有志に支えられています。
ABOUT MYANMAR CREATORS
ミャンマーのクリエイターについて
2021年2月1日未明、ミャンマーで国軍によるクーデターが起き、政権トップのアウンサンスーチー国家顧問ら政府高官が次々と拘束されました。このことはミャンマー市民に衝撃を与え、彼らを絶望の淵に突き落としました。そして市民らは大規模な抗議活動を始めます。
2月の下旬には全国で数百万人に達したとも言われる抗議活動には、学生や公務員、教師、医師、労働者ら幅広い層が参加しますが、中でもジャーナリストや芸術家などのクリエイターの活動は目立っていました。記者はヘルメットと防弾チョッキを身に着け記録を続けました。普段はフィクションを撮っていた映画人が、カメラを持ってデモ弾圧の最前線の映像を撮り続けました。画家は絵を描いて売り、その資金でゼネストに突入した公務員を支援しました。舞踏家は革命歌をバックにトラックの上で踊り市民を鼓舞しました。詩人は大通りで詩を朗読して声をあげました。ネット上では、漫画家やイラストレーターが抗議のイラストを投稿しつづけました


しかし、2月下旬から3月にかけ、国軍が自動小銃やロケット砲まで使用した大規模な弾圧に乗り出します。表立った活動はできなくなり、多くのジャーナリストや芸術家は地下に潜り、または国境を越えて海外に逃れました。そして、いまでも製作を続けています。その作品の多くは、独裁に反対するメッセージや、市民の気持ちを代弁するものとなっています。
どうして彼らは、危険を冒して抵抗を続けるのでしょうか。その背景には、共通の記憶があります。この国は、半世紀にも及ぶ軍事独裁体制が続いたのちの2011年に民政移管を果たします。その後2015年には、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)政権が総選挙に勝利し政権の座につきます。
民政移管以降の表現の自由が拡大した10年の間、クリエイターたちは新しい時代を迎えていました。日刊紙や雑誌が相次いで創刊され、民放テレビ局が次々と誕生し、映画界には海外からの共同制作の企画が次々と舞い込みました。芸術家の作品は海外に紹介され、国際的な展示会に出品し、国際的マーケットへの扉が開かれました。自分たちがこれまでできなかったことを今こそ表現しようという活気に満ちていました。
この10年間の記憶から、この国のクリエイターたちは、自由の尊さを身をもって知っています。まさに、この自由は彼らの未来そのものでした。彼らは自分たちの未来を再び取り戻すため、クーデターに反対の声をあげています。
